Lyrics 玄冬記 -花散る日- - Shinji Tanimura
通夜の夜には不釣合なほど
空一面の銀の星
黒い喪服の弔問客が
今日だけは明るい路地を抜けて
終電車が走り抜けた後
この部屋にも夜が来る
この空の下で暮らしている
他の人よりも長い夜が来る
酒にのがれて逃げてもみたい
大きな声で歌でも唄おうか
いつかは来ると今日という日が
いつかは来ると知っていた
おしい人を失くしましたねと
隣の部屋で声がする
聞こえるはずのない貴方でも
伝えてみました二月の闇に
旅に疲れる様になってきました
ホテルの窓から見る景色にも驚くことが
少なくなってきてしまいました
春がそこまできているというのに
胸さえときめかなくなりました
毎年毎年こんな風に何かを失くしながら
年を取ってゆくのかもしれません
貴方の胸に抱かれたかった
今夜しみじみそう思う
香の匂いにまぎれて香る
貴方が愛おしんだ冬の花
覚えてますか子供の頃に
買ってもらったズック靴
さよならすると貴方の後を
泣きながら追いかけた夏の夕暮れ
出逢える人の数よりもなお
別れる人の数が増えてきた
いつかは来ると今日という日が
いつかは来ると知っていた
通夜の夜には不釣合なほど
空一面の銀の星
泣きながら追いかけることさえ
出来ないくらい大人になりました
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